発色とは

「発色」とは、夏、雨が降ったあと、空に陽が射し始めると、七色の虹が現れる現象と同じ原理です。水滴がたくさん残った雨上がりの空に陽が差すと、光が水滴を通してプリズム効果となり、人間の目に七色の虹と認識されます。ステンレス鋼板の表面に酸化被膜を成長させると、茶、青、黄、赤、緑といった色が見えるのは、こういった「発色」の現象です。塗装や印刷やメッキは素材の上に塗料やインクを塗って色をつけるので「着色」といいますが、「発色」は光の干渉によって認識される色なのです。

ステンレスへの着色方法としては以下のような表面処理が一般的です。

処理法 主な目的
[ 塗装 ]スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、粉体塗装

耐食性、装飾性

[湿式めっき]電気めっき、化学めっき(無電解めっき)

装飾、耐食性、耐摩耗性

[陽極酸化]鉄鋼への陽極酸化、非鉄金属(アルミ)への陽極酸化 耐食性、耐摩耗性、着色

耐食性、耐摩耗性、着色

[乾式めっき(気相)]物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)

耐摩耗性、摺動特性、
光学特性

但し、上記の表面処理はステンレスに対して密着が悪い為、剥がれやすいのが欠点です。
その欠点を克服する為に開発された表面処理が「酸化皮膜による発色」です。

ステンレスの表面は元来クロムを主成分とする透明な不動態皮膜(酸化皮膜)に覆われています。
この透明皮膜の厚さを1/100ミクロン単位で成長させてゆくと光の干渉によってステンレス表面は様々な色をかもし出し始めます。
この発色皮膜は非常に薄いことにより、塗装やめっきと異なり素材の表面状態を損なうことなく、また寸法精度も変えることなく色鮮やかなものに仕上げることができます。
また酸化皮膜の成長によりステンレス本来の耐食性をさらに向上させる役目も持ち合わせています。

黒色の発色の難しさ・均一化することの難しさ

その中でも黒色を出すことは難しく、均一で深い黒に仕上げることは非常に困難です。
ただし、それを実現したのがAbel Black®です。